昔よく、駄菓子屋などで当たりくじ付きのお菓子があった。
当たったら、もう一つお菓子と引き換えてもらえるという仕組みだった。
気が向いたので、近くでそんな当たりくじ付きのおかしを買った。
なぜか知らんが、家に帰って開けてみると「当たり」だった。
それを見て、切なくなった。
子供の頃だったら、それだけで無邪気に喜んでいただろうに。
それだけで友達に自慢していただろうに。
そんな無邪気さは、僕の中から完全に消えていた。
この年まで成長してきたのと代償に、とても大きなものを失っている気がした。
そんなことを思いながら、僕はゴミ箱に当たりくじを捨てた。