博士の愛した数式


久々に本を読んだ。
というのも京都に帰る用事があって、電車の中で読むために駅の本屋で購入したもの。
ゆっくり選ぶ時間もなかったので店頭で一番宣伝されていたものにした。
まさに本屋が一番宣伝に力を入れてる話題の本であり、消費者としてまんまと引っかかってやった。


博士の愛した数式 (新潮文庫)

博士の愛した数式 (新潮文庫)

1990年の芥川賞受賞以来、1作ごとに確実に、その独自の世界観を築き上げてきた小川洋子。事故で記憶力を失った老数学者と、彼の世話をすることとなった母子とのふれあいを描いた本書は、そのひとつの到達点ともいえる作品である。現実との接点があいまいで、幻想的な登場人物を配す作風はそのままであるが、これまで著者の作品に潜んでいた漠然とした恐怖や不安の影は、本書には、いっさい見当たらない。あるのは、ただまっすぐなまでの、人生に対する悦びである。 

家政婦として働く「私」は、ある春の日、年老いた元大学教師の家に派遣される。彼は優秀な数学者であったが、17年前に交通事故に遭い、それ以来、80分しか記憶を維持することができなくなったという。数字にしか興味を示さない彼とのコミュニケーションは、困難をきわめるものだった。しかし「私」の10歳になる息子との出会いをきっかけに、そのぎこちない関係に変化が訪れる。彼は、息子を笑顔で抱きしめると「ルート」と名づけ、「私」たちもいつしか彼を「博士」と呼ぶようになる。 

80分間に限定された記憶、ページのあちこちに織りこまれた数式、そして江夏豊と野球カード。物語を構成するのは、ともすれば、その奇抜さばかりに目を奪われがちな要素が多い。しかし、著者の巧みな筆力は、そこから、他者へのいたわりや愛情の尊さ、すばらしさを見事に歌いあげる。博士とルートが抱き合うラストシーンにあふれるのは、人間の存在そのものにそそがれる、まばゆいばかりの祝福の光だ。3人のかけがえのない交わりは、一方で、あまりにもはかない。それだけに、博士の胸で揺れる野球カードのきらめきが、いつまでも、いつまでも心をとらえて離さない。(中島正敏)


どうやら聞くところによると映画化されてるらしく、TVでもバンバンCMやってるらしいやん。
そんなことはいざ知らず、電車にことこと揺られながら一気に読みましたよ。


何となく時間がゆっくりと進む感じで、のんびりしたストーリー。
博士の愛した数式 | アスミック・エースのサイトで見てみると、寺尾聰深津絵里主演だとか。
イメージ的にはいい人選だと思う。
ターミナルを最近見た自分には、主人公がトムハンクスとダブって見えた。
あらすじ的には、80分前までの記憶しかない数学者とその家政婦と子供の話。
どこか哀愁漂う雰囲気の中、数学の純粋な美しさと絡まって物語は進んでゆく。
数学が好きだった自分には共感できる部分も垣間見えた。


数字や数式を擬人化してよりいっそう話に立体感を出している。
それによって博士の、数学と子供に対する純粋すぎる愛情が浮き彫りになって見えてくる。


この年になると日常生活で数学に直接触れる人は少ないと思うが、ま、僕が適当に買ったこの本、読みたい人はどうぞ。


特に推したりはしませんが・・・